株式会社アイジーホーム(設立年:1971年、従業員:10名、事業内容:個人向け戸建て住宅)で取締役副社長を務める尾﨑公司。2017年にイトーグループの傘下に参加以来、社内安定とグループ力強化を見据え、盛り上げる計画を健次代表・卓見社長とともに模索している。これまでの歩みや今後の目標について語ってもらった。
仕事が趣味だから頑張れる
父親は木製雑貨・宝石箱を製造する会社を経営していた。幼い頃から両親に木工場の中で仕事をしながら育てられた。小学生になってからは少年野球とものづくりに熱中していたという。この頃の木工遊びはのちに仕事へとつながり、父は作る楽しさを教えてくれた。また人付き合いについては、小学生のころから夜の酒場での接待にも毎回同席させられ、大人の世界を見せられ、自然と人間付き合いを教えられていたことが現在の力となっている。
家業は大手通販、フランフラン、ソニープラザ、無印良品など大手取引先が増え、生活雑貨などを幅広く扱うようになった。会社は人ほどの従業員を抱えるまでに成長していき、日本最大の木製雑貨製造工場となっていった。ところが父親の急逝により、尾﨑は姉と二人で突然代表者に就任することになるが、そこからは苦難の連続だった。若き二人には信用がなく、取引を拒む業者が出てきたこともあり、二人は従業員を守るために、ただがむしゃらにやっていくしかなかった。先代から引き継いだ債務も多い中、大手のお客様たちが海外生産に一気に流れ込んだ時代背景もあり、その後会社は倒産した。その後5年間建材メーカーにて修業していた時期もあったが、その後独立し再度挑戦が始まる。
良縁にめぐり逢って
尾﨑は株式会社立米(りゅうべい)を設立。店舗内装家具の製造会社を立ち上げた。それから年ほど経って経営に余力ができた頃、富士市のヒザワホーム買収の話が銀行より持ち上がる。母方と父方、両方の祖父が大工・設計の仕事をしていたことを父親より聞いており、住宅建築の仕事に興味があった尾﨑は、タイミング的に合致していたこともあり、買収に踏み切った。そして一年間苦戦しながら経営してきたが、人材の流失、外部からの風評等で自力での再建は難しく思い、知人に相談したところ、グループの健次代表、第一伊藤建設の卓見社長に協力をお願いしてイトーグループに参加することとなった。
「健次代表とは勝手ながら親子のように仲が良く、商売の仕方や人とのつきあい方を、お酒を酌み交わしながら懇々と教えてもらっています。今の自分があるのは、健次代表のおかげで恩人・神様ですよ。私の父親は57歳で亡くなり、自我の強い私は父親に相談・指導をもらうことは一度しかなかったように思う中で、健次代表との食事・お酒の時間は父親と話ができているようで、とても心地よい思いをさせていただいています。健次代表が大病をし、現在の生活は以前とは違いますが、今後もご指導いただけるように長生きしていただきたいと常に思っております。健次代表が進める『良縁づくり』は何年たってもグループのテーマだと感じています」。
満足度の高い会社とは
満足度の高い会社とは「現在の私の仕事は、木製雑貨から家具・什器・家まで建てる仕事だと自負しています。生活にかかわる木の仕事を、小から大まで自社にて完結できる会社は日本では私たちの他にないでしょう。」そう語る尾崎は、職人冥利に尽きる充実した日々を送っている。アイジーホームは、お客様に語れる家をコンセプトに「FPの家」というブランドを主力として展開している。尾崎が代表を務める立米はもともと北欧企業と深い繋がりがあり、フィンランドの断熱材や工法を用いる「FPの家」には、買収時から強い関心があった。
「こだわりの工法で作るから、お客様に自信を持って良い家を提供できます。お客様が喜んでくだされば、別のお客様を紹介してくださる。それこそが健次代表が経験してきた住宅営業の目指すところなのです」。住宅業界が難しい局面を迎える現在、小規模で運営しているアイジーホームは健闘中だ。
いつも楽しく笑いのある会社にしようと、尾崎は社員に声をかけている。モットーは隠しごとのない、嘘のない会社。社員には、働きやすい職場で仕事を楽しんでほしいのだ。従業員にも個性がある。いろいろな意見もある。会社はみんなのものであり、経営者はみんなが働きやすいフィールドを作るグランドキーパーであるべき。チームワークを作る中で一人でも目的が違う人がいたら優勝は目指せない。嘘を言わなくて良い、また仲間が信用し合える環境づくりを今後も進めていきたい。
「“お客様が喜んでくれる、お客様と会話ができる、良い商品を売っていけ”という健次代表の考えに沿って、社員が明るく楽しく仕事をする。それが、アイジーホームが進めていく、お客様も従業員も幸せになる満足度の高い会社になることだろうと思っています」。
さらなる発展のために
「今後はグループ内で情報の共有に努め、グループ力の強化に協力していきたい。イトーグループに参加させてもらったご縁があるので、グループ全体を良くすることを微力でも考えていきたいと思っています。今後は『人口減少』『Z世代の価値観の違い』『パンデミック』など様々な要因から不安定な時代に入っていきます。衣・食・住とありますが、住の部分で新築住宅の着工戸数は今後必ず減少傾向に向かいます。私たちは建築産業を生かし、住宅だけでなく衣・食にかかわる非住宅の箱にも積極的に営業・施工体制を整えていく必要があると思います。
私のもう一つの会社で立米という会社は関東の仕事が90%になりますが、店舗内装工事を主として日々什器を製作し、取付をする仕事をしております。また、北欧のファブリック素材・特殊木材・インテリアなどの輸入商材もあります。
イトーグループは年間400〜450棟の住宅を引渡し、他にアパート管理・不動産など多数のお客様・オーナー様とのお付き合いがあることと思います。皆さんのお力になれるようなご提案をすることも大事だと思いますが、今後小さくなると思われる市場の中で生き残るために重要なのは、グループでの情報共有です。そのために私たちは全力で、笑顔で協力させていただきます」。
代表の意思を踏まえてグループの強化を図っていきたいと考えている尾崎の奮闘は、この先も続いていくことだろう。
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